スポーツで大事なのはスタイルでしょ

スポーツの世界では、技術やトレンドが日進月歩で変化しています。

  • 道具の進化
  • ルール変更
  • ゲームチェンジャーの出現

だいたいこれらの要因が絡み合うことで、そのスポーツの「スタイル」は大きく変化していきます。

今回は、わたくしの趣味であるスキーと、スタイルの変遷が分かりやすいバスケットボールを例に、スポーツの進化について考えてみます。

ちなみに、スキーとバスケにスポットを当てて書きますが、どのスポーツでもスタイルの変化は存在します。

長いブランクを空けて再開したりすると『古臭いスタイルでプレイしているな』と思われたりします。

オールドスタイルとか言われちゃったりします(笑)

スキーを変えた「道具の進化」

まずはスキーの話から。

2000年頃、「カービングスキー」という非常にターンがやりやすいスキー板が登場しました。

形状がしゃもじの様に独特だったため賛否あったようですが、現在のスキー板のほとんどは基本的にはこの形状です。

カービングスキーの登場で、かつて一部のエキスパートのみが限られた条件でしかできなかった【カービングターン】という雲の上の技術が、一般層でも当たり前にこなせるようになりました。

この道具の進化によって、滑っているときのシルエット(フォーム)そのものが一変しました。

左がカービングスキーの登場前、右がカービングスキー登場後のシルエットになります。

ちなみに、カービングスキーの登場から25年以上が経った現在では、登場初期と現代のスタイルを比べてもまた変化が見られて面白いところです。

常に進化はしているということです。

また、ここで興味深いのが「ゲレンデの難易度」です。

現在あるスキー場の多くは、カービングスキーが登場する前に設計・オープンした場所です。

当時の板(ノーマル板)は今とは比べものにならないほど扱うのが難しく、昔の上級者コースはまさに「選ばれしエキスパート専用」でした。

道具が進化してターンが容易になった今、当時の設計基準で書かれたコース表記と、現代の滑り手が感じる体感難易度には、少しずつ乖離が生まれてきているのです。

バスケを変えた「ゲームチェンジャー」と「ポジションレス」の時代

もうひとつ、スタイルの変化が激しいスポーツとしてバスケットボールの例を見てみましょう。

発祥初期のアメリカでは白人選手が中心でダンクすらありませんでしたが、黒人選手の登場により空中戦が一般化しダイナミックなスポーツへと変化しました。

1980〜90年代のマイケル・ジョーダンの時代には、ポジションごとの役割分担(分業制)が明確なスタイルとして定着していました。

  • ガード: ゲームメイクとアシストに専念
  • フォワード(ジョーダンなど): ミドルレンジ(中距離)やインサイドでの1対1で得点
  • センター: ゴール下でのリバウンドと泥臭いポストプレイ

当時はゴールに近い場所での攻防が主流で、1990年代の3ポイントシュート試投数はチーム全員合わせても1試合にわずか10本程度

3Pはあくまで「困ったときの隠し味」であり、大型センターが外から打つなんて考えられない時代でした。

しかし、この常識を根底から覆したのが、2010年代に登場したステフィン・カリーです。

カリーはNBAの3Pライン(約7.24m)のさらに外側から、40%を超える異次元の確率でシュートを沈め続けました。

「確率的に3Pを撃ちまくる方が効率が良い」と彼が証明したことで、現代のバスケはカリー1人だけで1試合に11本以上、チーム全体では1試合に35〜40本以上もの3Pが飛び交う時代になったのです。

この「3P革命」により、コートを広く使うため2メートルの大型センターまでもが外に出て3Pを狙い、ガード並みのハンドリングで攻め込むようになりました。

漫画『スラムダンク』で例えるなら、当時「何でもこなす規格外の怪物」として描かれた山王工業の河田兄(雅史)のような選手が、今や当たり前にごろごろいる時代になったわけです。

ジョーダン時代のアナログで泥臭い「分業スタイル」から、データと確率に基づき全員が外から狙う「ポジションレスなスタイル」へと変化。

たったひとりのゲームチェンジャーの出現が、スポーツ全体の概念やスタイルそのものを進化させた象徴的な例と言えます。

まとめ

道具の進化によって一般化し、滑走中のシルエットやゲレンデの体感難易度まで変えてしまったスキー

スーパープレイヤーの出現によって「ポジションの常識」そのものが変わったバスケットボール

効率やツールの進化がスタイルを変える側面もありますが、その根底にあるのはいつの時代も「カッコいい者への憧れ」です。

スター選手が見せるスタイリッシュなプレイに魅了され、「自分もあんな風に表現したい」と憧れたプレイヤーたちが次世代のスタイルを創り出していく。

スポーツのスタイルが進化し続ける本当の原動力は、そうした人間のシンプルな憧れなのかもしれません。

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