映像に残る異次元の達人たち
歴史上の達人名人と呼ばれる人物がおこなったとするスゴ技神業を聞くと『本当かよ』とにわかには信じがたい、ハッキリと言えば「作り話でしょ」と思えるものが多々あります。
例えば、
- 植芝盛平(合気道の開祖) 軍隊の射撃の名手たちが、数メートル先から至近距離で拳銃を構え、彼を的にして一斉射撃をおこなったという伝説。撃った瞬間に植芝の姿は消えており、銃弾はすべて空を切り、気がつけば射手たちの背後に立って笑っていたといいます。本人曰く「弾が飛んでくる前に、光のような気配が先に見えるから避けるのは簡単だ」とのことですが、もはや漫画や映画の世界です。
- 武田惣角(大東流合気柔術の開祖) ある旅館の一室で、門弟(または挑戦者)が惣角を奥の部屋に追い詰め、襖を背にした惣角を取り囲んだ時のことです。彼らが「今度こそ逃げられない」と一斉に斬りかかった(または捕まえようとした)瞬間、惣角は彼らの目をかすめて一瞬で背後の襖(あるいは壁)を突き破るように通り抜け、いつの間にか襲撃者たちの背後に立っていたとされます。当時の証言者たちは、惣角が「壁をすり抜けた」としか思えないほどの目にも留まらぬ速さと、相手の視線を巧みに外す技術(合気・目付)を持っていたため、これが後世に「壁抜けの術」「忍者さながらの神業」として語り継がれることになりました。
これらの逸話が映像で確認できる、または再現できる人物でもいれば本当のことだったと信じることが出来ますが、簡単に再現できれば神業とは言えませんので、あくまでも神業は神業なんだと言えます。
近代のスポーツや武術の世界でもスゴ技神業を披露するアスリート、達人がいます。
これらの神業を再現するのは難しいですが、なんといっても証拠の映像が残っているのが疑いようもない事実となっています。
そんな神業をいくつかご紹介します。
マイケル・ジョーダン :トリプルクラッチ
バスケの神様と言われるマイケル・ジョーダンが1991年に対ネッツ戦で放ったトリプルクラッチでのシュート。
もともと空中でディフェンスを躱してシュートコースを変えるダブルクラッチを得意としている選手でした。
ダブルクラッチ自体はやろうと思えば小学生でも可能な技です。
ただ単にジャンプして一回フェイクを入れるだけでダブルクラッチにはなりますからね。
ただダブルクラッチには難易度があって、ゴールを近サイドから逆サイドまで超えてバックシュートでシュートを決めるダブルクラッチはNBAでも一部の限られた選手にしかできない技になります。
このダブルクラッチはかなり難しいです。
この難易度MAXのダブルクラッチを初めて見たのが中学生の時でしたけど、簡単に再現できる技ではありませんでした。
ディフェンス無しでも相当難しいです。
フェイクを入れて逆サイドまで跳べることは可能ですが、最後のシュートが打てないと思います。
驚異的なジャンプ力プラス体幹の強さとボディバランスが優れていないと可能な技ではありません。
この難易度MAXのダブルクラッチに更にもう一つフェイクを入れたトリプルクラッチを実戦でやったのがマイケル・ジョーダンです。
おそらくNBAの長い歴史上これが可能なのはマイケル・ジョーダンのみでしょう。
世界中探しても彼にしか出来ない神業になります。
中村日出男 :垂木(たるき)斬り
空手家。拳道会総帥十段範士。
垂木斬りの映像がいくつか残っているので、実際の演武を観ることが出来ます。
空手の試し割りには、コツがあります。
その辺は物理学を学べば理解できるかと思いますが、ごく初歩的な物理学ですので、誰にでも理解できます。
しかし、中村日出男の垂木斬りに関しては、理解不能になります。
有名な逸話として、漫画『グラップラー刃牙』の作者が正道会館の石井館長に垂木斬りのコツを聞いても『あれはどうやっているのか分からない。分からないけど、あくまでも仮説ですが身体の全ての関節をインパクトの瞬間ロックすることができれば垂木くらいは割れるんじゃないか?』とのこと。
ここから漫画グラップラー刃牙で剛体術というものが創作されたのは有名な話です。
中村日出男はある時『木を斬りたい。』と思って木を斬るためだけに3年間修行したそうです。
出来た瞬間なんとも言えぬ嬉しさがあった、ということですが・・・どんな密度の3年間だったのでしょうか。
手刀の垂木斬りの映像を観ると、ごく自然体で手刀を放っています。
力感とかダイナミックさは感じられません。
一見すると軽く手刀を振っているように見えます。
ただし、本人及び周囲の意見をまとめると以下のような感じです。
- 本人曰く: スピードが大事で名人達人ともなれば時速1200kmの速さで打つ、私はせいぜい時速700〜800kmとのこと。
- 映像の事実: ハイスピードカメラにもインパクトの瞬間がブレて映らない。
- 破壊工学の専門家曰く: それはとんでもなく速い速度である。
それを踏まえて何度も繰り返し観てみると、インパクトの瞬間がとてつもなく速い(ように見える)、しかもあの速さなのに体幹が一切ブレないし力感もない。
やろうと思っても簡単に出来るレベルではないです。
そして中村日出男の垂木斬りの最大のナゾがあります。
この垂木斬りを前蹴り、足払い、寸勁(すんけい)でもおこなっていて、いずれも見事に成功しているのですが、これもスピードが大事なの?と疑りたくなるぐらいのスピードに見えます。
前蹴り、足払い、寸勁に関しては全然速く見えない。
スピードが大事なのにスピードは速く見えない、でも垂木は斬れている。
『どういうことなのか?』
本人が『心で斬っている。』とも仰っていますので、常人には理解が困難なイメージの世界があるのかもしれません。


