笑えない状況
笑う。
人は笑うことによって免疫力の向上も確認されていますし、笑いは生活を送るうえでなくてはならないものかと思います。
ただ、時と場合いによっては【笑えない】シチュエーションというのがあります。
笑えないシチュエーションですからね、笑えないんです。
強さを追い求める中
約30年ほど前、フルコンタクト空手界の最大組織である極真会館のとある道場で稽古を送る日々を過ごしていました。
毎月月謝をおさめ空手を習うわけなので、いわゆる習い事の一つではあるのですが、空手は封建社会であり縦社会なのです。
1日でも先に入門すれば年齢に関係なく『先輩』と呼ばれます。
序列がハッキリしていてサークルのようなフランクさは良い意味でも悪い意味でもありません。
平たく言えば【厳しい世界】なわけです。
まあ、世間一般との乖離が激しいと誰も入門しませんから、時代に合わせてゆるくなっていたとは思いますが、稽古となれば一段引き締まります。
練習ではなく稽古なわけです。
入門して最初に習うのが返事はすべて『はい』ではなく『押忍』になります。
押忍とは『押して忍ぶ』という意味で【困難にも耐え自分を抑えて前進する精神を表す挨拶 】なのです。
空手独自の世界があるのです。
封建社会ですからね。
そんなある日に新規の入会者が初めての稽古を受けていました。
指導員の先輩から説明を受けています。
例のごとく『返事は「はい」ではなく「押忍」と答えてください。』と指導されます。
基本稽古の時に『突きは手首を返して○○に打つ・・・』
そんな基礎的なことを指導されれば返事は『押忍!』と答えるわけです。
入門したてで初めての稽古で緊張したのか?
返事が『押忍』からいつの間にか『オイッス!』に変わっています。
稽古中は皆真剣に受けています。
入門したての彼も真剣です。
しかし返事は『オイッス!』

ふと、ドリフの映像が浮かび『いかりや長介かよ!』とツッコミたくなるようなシチュエーションですが、稽古は淡々と進みます。
淡々と進む授業中
中学での英語の授業。
簡単な文章を習っていました。
教科書には英語での自己紹介が載っています。
『私の名前は○○です。』
英語では『マイネーム イズ ○○○○』という感じ。
My name is LINDA NEWMAN.
日本語にすれば、『私の名前はリンダ・ニューマンです。』
ということです。
先生から『では実際に自己紹介をしてみましょう』とタカハシ君が指されます。
タカハシ君は『マイネーム イズ リョースケ ニューマン』と答えます。
え?
リョースケ ニューマン?
今、リョースケ ニューマンって言ったよな?
マイネーム イズ リョースケ タカハシではなく、リョースケ ニューマンと。
何事もなかったかのように授業は進みます。
誰もツッコまない。
周りを見渡してみるも通常通りにしています。
内心『なんで笑わずに平常通りでいれるんだよ?』と。
ちなみに、タカハシ君はこの日から卒業まで【リョースケ ニューマン】というあだ名で過ごすことになります。


