精神が肉体を超える瞬間

以前の記事で心技体でいう所の【技】と【体】を紹介しました。

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今回の記事は心技体の【心】にスポットを当ててみます。

精神力、集中力、忍耐力、感情のコントロールを指します。
どれだけ高い技術や体力があっても、プレッシャーに負けたり、諦めたりするようでは本来の力を発揮できません。

元々は武道での習熟度を測る目安で【心技体】という言葉が使用されたのかと思います。

武道的な観点で言うと、

武道での【心】とは
不動心(ふどうしん)
相手の強さや不意の事態に直面しても、恐怖や驚き、動揺を一切起こさない鏡のような心です。
残心(ざんしん)
技を終えた後も決して油断せず、次の攻撃に備えて全方位に意識を向け続ける心の身構えです。現代の「集中力の持続」の原型です。
明鏡止水(めいきょうしすい)
邪念(「勝ちたい」「格好良く見せたい」という欲)がなく、澄み切った状態です。心が曇っていると、相手の動き(技)を見誤ります。
心身一如(しんしんいちにょ)
心と体は別物ではなく、一つのものであるという思想です。「心が動けば体が動き、体が整えば心が整う」という、心技体の一体化を示しています。

武道的な意味合いの【心】は一旦置いておいて、スポーツ世界での【心】にスポットを当ててみます。

スポーツでは分かりやすく言えば【メンタリティー】のことになるかと思います。

なかなか【心】の習熟度を判断するのは難しいです。

上記の【心】についての記述を見ても『なんのこっちゃ?』とピンと来ませんものね。

なので、今回の記事では精神が肉体を凌駕したと思われる瞬間をご紹介します。

精神が肉体を超越する時

スポーツでは肉体を動かすわけですが、肉体を動かすのに精神(気持ち)が必要になります

気持ちが8~9割くらい大事です。

気持ちというのは簡単に揺れ動きますから、肉体が疲労する、もしくはダメージを受けることで、『苦しい、きつい、もう止めたい』と気持ちが落ちていくことなどスポーツをした人ならよく分かるかと思います。

肉体の疲労やダメージに完全に気持ちがついて行けなくなり諦めた瞬間が「心が折れた」と言われる状態です。

気持ちと肉体は密接な関係で成り立っています。

さて、この「心が折れた」状態とは全く逆の絶対に折れない心、精神が肉体を超越する瞬間というのもマレに垣間見ることがあります。

万人が簡単に出来るものでもないし、やろうと思って出来るものでもないので、そういうものを見れた時に人は感動します。

魔裟斗

2003年 対武田幸三戦

長らく日本のキックボクシング界を牽引していた武田幸三選手が新興勢力であるK-1ミドル級に初参戦する時に実現しました。

武田選手は伝説的な選手ではありましたが、K-1参戦時ではピークを過ぎていました。

対する魔裟斗選手は勢いのある若手最有力で次世代のスターになろうかという時。

実力と実績では武田幸三、若さと勢いの魔裟斗という対戦構図で注目を集めた試合でした。

フットワークとコンビネーション主体の魔裟斗に右のローキックをコツコツと合わせてダメージを与える武田という展開が続きます。

ラウンドが進むにつれ魔裟斗選手の左脚はみるみる腫れ上がり、ダメージは明らか。

並の選手なら倒れてもおかしくありません。

並じゃなくてもあそこまで腫れ上がると普通倒れます。

実際に魔裟斗選手は試合後に自力歩行が出来ず車椅子で病院直行でしたし。

魔裟斗選手の凄さはそれほどのダメージがあったのに試合中は脚を引きずるなどの痛い素振りを一切見せなかったこと。淡々とフットワークとコンビネーション主体で3ラウンドを戦い抜きました。

当時、チャラチャラしている(ように見えた)魔裟斗選手のことをあまり好きではなかったのですが、この試合で見方が変わりました。

チャラチャラしている人間には絶対に出来ないですからね。

8分36秒~ 2ラウンド終了時の魔裟斗選手の腫れあがった左脚

レミーボンヤスキー

2004年 対武蔵戦

K-1グランプリ決勝戦での戦い。

決勝戦を含めて1日3試合という過酷なワンデートーナメントなので、決勝戦前にダメージを追うことで勝敗の結果が変わってきます。

決勝戦まで上がる選手には多かれ少なかれダメージが蓄積しているものですが、レミーボンヤスキーには脚のダメージが明白でした。

武蔵選手のローキックの連打にマットに手をつきます。

ダウン判定でもおかしくありません。

この時のレフリーはダウンを取らず「早く立て」のジェスチャーでスリップ判定でした。

微妙ではありますが、あそこでダウンを取っていたら日本人初のK-1ヘビー級チャンピオンが誕生していた可能性はあります。

さて、ダウン判定にはなりませんでしたが、脚のダメージが無くなったわけではありません。

が、このジャッジからレミー選手は別人の如く息を吹き返します。

武蔵選手も脚を狙いますが、完全に流れが変わりました。

あそこから耐えるどころか息を吹き返す戦いをしたレミー選手。

これも精神が肉体を超えた瞬間でした。

8分19秒~ 武蔵選手のローにマットに手を着くボンヤスキー選手

まとめ

直接目で確認することが難しい【心】を【精神が肉体を超える】にスポットを当てて2戦ほどご紹介させていただきました。

今回は格闘技の試合を2戦紹介したわけですが、格闘技は心の動きが見ていてわかりやすいというのもあります。

格闘技をしていて一番ラクなのは【倒れる】ことですから、ダメージを受けながら倒れずに闘い続けるのは気持ちの強さが必要です。

こういう闘いも探せばもっとあるかとは思いますが、なにぶん僕が過去に観た試合で記憶に残っているものを選んでいますし、最近は試合観戦というものをまったくしてないので昔のことしか分からない(笑)

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