怖い話【オーバートレーニング症候群】

オーバートレーニング症候群というのをご存知でしょうか?

厚生労働省のサイトから引用すると、

スポーツなどによって生じた生理的な疲労が十分に回復しないまま積み重なって引き起こされる慢性疲労状態。

一言でいえば上記の通りです。

『なんだ、ただの疲労状態か』と軽く思わないことです。

アスリートの場合は選手生命にも関わる超重要なことです。

引き続き厚生労働省のサイトから引用すると

スポーツの実施などによって生じる生理的な疲労が、十分に回復しないまま積み重なって起こる慢性疲労状態のことを指します。
スポーツトレーニングは、日常の身体活動のレベルより大きな負荷の運動をすることによってトレーニング効果が得られるという原則があります。これを過負荷の原則(オーバーロード・トレーニング)といいますが、大きな過負荷を続けると同時に、疲労回復に必要な栄養と休養が不十分であった場合には、かえって競技の成績やトレーニングの効果が低下してしまいます。このような状態をオーバートレーニング症候群といいます。
競技成績の低下だけでなく、疲れやすくなる・全身の倦怠感や睡眠障害・食欲不振・体重の減少・集中力の欠如・安静時の心拍数や血圧の上昇・運動後に安静時の血圧に戻る時間が遅くなるなどの症状がみられます。
特に疲労症状が高まるにつれて起床時の心拍数が増加するといわれており、オーバートレーニング症候群を早期発見する目安となります。心理的プロフィールテスト(POMS)・心理的競技能力診断検査(DIPCA3)・体協競技意欲検査(TSMI)のような心理テストもチェック方法として有効と考えられています。
原因は肉体的・精神的ストレスにより、視床下部や脳下垂体から分泌されるホルモンのバランスが崩れるためと考えられ、重症になるほどトレーニングの減量・中止期間が延び、競技復帰が不可能になることもありますので早期に発見し対応することが必要です。

ようは、慢性疲労によりスポーツパフォーマンスが低下する状態を指します。

で、オーバートレーニング症候群には軽症なものから日常生活にも支障をきたし完治まで何年もかかるような重症なものまで幅広く存在します。

一生懸命に練習をしているのにパフォーマンスが上がらない、パフォーマンスが上がらないから更に練習量を増やして・・・っていう悪循環を繰り返してオーバートレーニング症候群に陥っていきます。

オーバートレーニング症候群であるかどうかの判断も難しいため、本人の自覚無しに気付いたらオーバートレーニング症候群でしたってことが多々あるのが現状です。

筆者の体験談

僕の体験談になります。

空手の競技選手だった頃のことです。

生活や環境的な背景としては、

年齢が30代になった。
会社を辞めて時間的な制限がなくなった。(練習時間の確保が容易)

会社を辞めた後で次の職もまだ決まっていない段階でしたので、とにかく時間があり何もしないとヒマでしょうがなかったんです。

で、僕が考えたのが、今までは8時間とか10時間を仕事をするのに使っていました。

それを練習時間に置き換えよう。

仕事してた時間を空手の練習の時間にすれば相当強くなるぞという単純な発想からでした。

1日8時間の練習をするというのをノルマにしました。

日曜日だけは休みで、月曜日~土曜日までは1日8時間の練習です。

空手の一般部の稽古が週に3回と選手会の練習が1回。(1回約2時間)
ジムでの筋トレが週3~4回。(1回約1時間)
ジムでスタジオプログラム(有酸素運動)が1日2~3本。(1回約1時間)

空手の一般部の稽古が週に3回と選手会の練習が1回。(1回約2時間)

空手の練習は可能な限り出るようにしました。

空手で強くなるためでしたからこれは当然のこと。

1回2時間ほどの稽古を週に3回と選手会の練習を週に1回です。

計4回の練習になります。

ジムでの筋トレが週3~4回。(1回約1時間)

ジムでの筋トレは筋力アップと体作りのために行う感じでした。

当時は今と違ってまだ専門的な勉強をする前でしたので、設定してた強度がかなり高かったと思います。

覚えているのが、ベンチプレスで100キロを挙げられたのもこの時期です。

あとはスーパーパーシャルなスクワットをしていました。

210キロ10回3セットとかしてた記憶があります。

パーシャルレンジだからこそ出来たスクワットです。

あとは、空手の世界チャンピオンがおこなっていたというスーパーサーキットというトレーニングを少しアレンジして週1~2回やっていました。

ジムでスタジオプログラム(有酸素運動)が1日2~3本。(1回約1時間)

『格闘技はリズムだ』

という格言があり、最初はリズム感覚を養うためにプレステ2のステッピングセレクションというゲームをしてたんです。

ゲームはメチャクチャ上手くなったのですが、実際にはコントローラーを動かしている指先だけしか使ってませんので、空手に活かせている感じがあまりなく(笑)

他に何かないかと探していたところにジムでスタジオプログラムを見つけたんです。

音楽に合わせて体を動かすというドンピシャだったわけです。

リズム感覚をトレーニングする目的で始めたのですが、スタジオプログラムというのは意外と強度が高かった気がします。

その日は突然来た

上記のような感じで月曜日~土曜日までは日々トレーニング三昧だったのですが、身体に異変が出てきたんです。

顔全体にニキビ

目、鼻、口以外の部分に全てニキビができました。

画像のようなマスクがありますよね。

目出し帽

布で隠れている部分全てにニキビって感じです。

最初は変なものでも食べたかな?

と思いました。

30代にもなって何で?って感じです。

後年になりオーバートレーニング症候群のことを学ぶ中で分かったことですが、おそらくはホルモンバランスの崩れが原因のニキビかと思います。

免疫力も低下していたと思います。

起きたときの最初の一言が『疲れたなぁ』

元々寝起きはすぐには目が覚めない方なので、いつまでも寝てられるんです(笑)

通常であれば『眠い』とか『もう少し寝ていたい』というのが普通でした。

が、この日はすぐにパチッと目が覚めました。

はたして寝ていたのか?ただ目をつぶっていただけだったのか?

あまり寝てたという感じがなくて・・・

とにかく急に目がパチッと覚めたんですよね。

で、起きて最初の一言が『疲れたなぁ』でした。

起きたばかりで一番フレッシュな状態のはずなのに、まるで1日中歩き回ったあとのような疲労を感じたんです。

異変後も変わらずトレーニング

異変後も変わらずにトレーニング三昧な日々を送っていました。

上記のニキビと起床時の疲労感を感じた段階というのは体からの悲鳴ですよね。

身体はサインを送っていたのに、僕は無視しました。

結果的に6ヶ月ほどこういう生活が続きました。

試合がありましたが、結果はさんざんでした。

自分の身体じゃないようなフワフワした感じで力が乗らない、スピードもない、反応も良くなかったんでしょう、後手後手にまわりいつの間にか試合終了してました。

格下相手だったので体へのダメージもない、本来なら圧倒できた相手になすすべなく負けるという。

試合の反省点も見つかりません。

オーバートレーニング症候群というのは、もうこれ以上の練習は出来ないってぐらい練習していますから、どこを改善すればいい?って感じです。

練習は十分すぎるぐらいしているのに自らのパフォーマンスが低下しますからね。

答えがあるとするなら『休むこと』

これしかないです。

オーバートレーニング症候群の治療法

とにかく休むことです。

僕の場合は、オーバートレーニング症候群と言っても軽症で済みました。

運の良いことに、ちょうど引越しして環境が変わったので完全に休むことが出来た点です。

空手の練習もゼロ、筋トレもゼロ、可能な限り寝て十分な食事をしっかりと摂る。

こういう生活に一気に変われたので3週間ほどでニキビも消え疲労が取れた感じがあったんです。

重症者になると数年単位での休養が必要になるケースもあるようです。

アスリートで数年単位の休養なんて実質的に引退と同義です。

予防のしかた

オーバートレーニング症候群の厄介なのは、パフォーマンスが低下したのを一過性のオーバーロードによる疲労で低下なのか慢性疲労による低下なのかの区別がつかないことです。

真面目な人ほど、パフォーマンスが低下したら練習の強度を上げがちです。

いつの間にかオーバートレーニング症候群に陥っていたというのがオーバートレーニング症候群の怖い所です。

僕の実体験をもとにすれば、体から何かしらのサインというのが必ずいくつかあるはずです。

僕の場合は顔全体へのニキビ起床時の疲労感でした。

この段階の時に、勇気をもって休養していればオーバートレーニング症候群にならずに済んだかもしれません。

他のサインとしては、

  • 食欲の低下
  • 息切れ
  • 不眠
  • 動悸
  • 立ちくらみ
  • 手足のしびれ
  • 慢性疲労
  • ホルモンバランスの乱れ
  • やる気の低下
  • 燃え尽きた感じがある

などなど。

これらのサインがあり、練習はしているのにパフォーマンスが低下しているなと思ったら思い切って休養する勇気も大切です。

広告