徹底的にマネしたいこと
浪人したことがのちのち有利になる?
予備校に通っている時に講師たちに異口同音に言われたことがあります。
『一年浪人した君たちは現役で合格する生徒と比べて1年遅れたかもしれない。
でも今後の人生でこの経験が大きな差になって返ってくる。』
来年の受験に合格した際には1学年下の現役合格の生徒と同じ学年になるわけです。
そういう現役合格の生徒と比べて『経験値が違う』『のちのち差が出る』ようなことを言われました。
僕は素直なので当時はそのことを信じていましたけど、
いざ大学生となり生活していみると現役合格の生徒と比べて有利だと思ったことは大学4年間で一度もなかったです。
体育会系の運動部に所属していたので1年の浪人生活で体力は落ちているしむしろ不利なんでは?とか思うぐらいでした。
卒業後に社会人になっても有利に感じたことはなかった。
あれは気休めで言った言葉だったのか?とも思ったりしましたが、
サラリーマンを辞めてからは予備校に通っていた頃の経験がもの凄く大きな財産になっていると感じることが増えてきました。
僕の職種はパーソナルトレーナーです。
カラダのことのお悩み、例えばダイエットで何キロ痩せたいとか、ウエスト周りを引き締めたいとか、ヒップアップしたい・・・などなど、
身体の変えたい部位をクライアントが目標とする所までガイドするのが仕事です。
ダイエットとか筋肉を付けることとか、カラダ作りに関しては、方法論というものが確立しています。
もちろん新たな理論や方法論も出てきたりしますが、
ベースとなるものはほぼほぼ決まっています。
当店では必ずカウンセリングをしますが、
クライアントが求める目標までの道筋は瞬時にイメージできます。
最短距離でいくならアレとコレをやってこうすれば辿り着くというのを目標を聞いた0.2秒後には答えが出ています。
まあ、この最短距離のルートは感情を持ち合わせていないマシンが相手の場合ですけどね。
人間には当然感情がありますから、
ただキツイことを強要すれば『トレーニングに行きたくない』とか『休みたい』とか出てくるわけです。
カウンセリングをしながらクライアントの性格だったり運動歴だったり既往歴だったり年齢などを総合的に分析して『こうしましょう』と提案するわけです。
ここはトレーナーの経験値がものを言うところです。
僕が理想としているモデルがあります。
『こういう感じで導いていけたら理想的』というモデルがあります。
それは僕がかつて通っていた【予備校】です。
予備校の講師は受験のプロ
僕は大学受験を一度失敗しています。
現役では一校も受からずに全滅しましたので、一年浪人することになりました。
予備校に通うことになるのですが、
ここでの経験が僕のトレーナーとしてのバックボーンになっています。
大学受験というものはやることは決まっています。
毎年ちょっとずつ変化はしますが、
試験内容や範囲はある程度決まったところからしか出題されません。
決まった範囲の中でもさらに配点比率が高い箇所があります、いわゆるオイシイ部分になりますけど、
こういう配点比率が高い箇所は絶対に覚えておいた方が良い部分、合格への近道になります。
そういうのをふまえたテキストを作るのも講師の役割になりますし、
予備校生へ効率よく伝えるのも講師の仕事です。
今の受験事情は知らないですけど当時は【受験戦争】という言葉があるくらいに加熱した世界でした。
どこの予備校にも名物講師と言われる面白い先生がいます。
僕が通っていた予備校は各教科に名物講師と呼ばれるような先生がいました。
特に英語に関して力を入れている予備校だったので英語の先生たちはおもしろい人が多かった。
ちなみに、予備校に通い始めた頃の僕は英語のアルファベットが暗号とか記号にしか見えなかった。
高校英語でついていけずすっかりと取り残された落ちこぼれと言うやつです。
英語が一番の不得意科目。
勉強をするといっても自力では何から手を付けていいのかも分からない、チンプンカンプン。
ただ、予備校というのはこういう英語がチンプンカンプンな生徒が多数派なわけで、
こういう生徒を僅か9ヶ月ほどで目標としている志望校に合格できるまで導いていくのが予備校の講師です。
受験のプロです。
プロ中のプロ。
実際に僕は9ヶ月後には英語が一番の得意科目になっていましたからね。
基本的には講義に出席するだけで学力は上がっていきました。
アルファベットが暗号とか記号にしか見えなかったのが、意味が分かってくるんです。
メジャーポイント・・・それが分かると連鎖的に他の関連している部分の意味も分かるような重要なポイントってのがあります。
そういうメジャーポイントがいくつかあるのでそれを覚えていくと自然に英文の意味が見えてきます。
暗号にしか見えなかった英文に規則性があって意味のある言葉として分かるようになっていきます。
その上メジャーポイントが自然に覚えらえれるような仕組みが作られていました。
僕が在籍していたクラスでは英語の講師がたしか5名いたのかな。
『長文読解』とか『英語基礎Ⅰ』『英語応用Ⅱ』みたいな感じで講義内容が違うのですが、
同じ時期に同じメジャーポイントの問題がどの講義にも繰り返し出してきます。
別の講義ですが他の講義と連携してカリキュラムが作られているから
『あ、これはこの前聞いたことだ!』という感じでいつの間にか覚えちゃうんです。
落とし穴の位置を教えてくれる
浪人している受験生というのは一度受験を失敗した人間です。
自信を失くして精神的に情緒不安定だったりします。
そういう人間が陥りやすいメンタルだったり落とし穴だったりを教えて導いてくれます。
こういうのはコーチングっていうのかな?
例えば、4月5月の時期はやる気もあるし教えるのが上手い講師に勉強を教わっているから勉強も楽しいと感じるのですが、
また来年の受験も失敗するんじゃないか?
という不安もあるんです。
やる気の充実しているプラスの時と
不安でまたダメなんじゃないかというマイナスの時が交互にくるんです。
そんな時に受験が失敗した原因を端的に教えてくれたんです。
『失敗したのは誘惑に負けた自分の弱さが原因』
人間は失敗すると失敗した原因を自分以外の何かのせいにしようとします。
自己防衛の一つなのかもしれません。
僕も受験に失敗した原因をどこか周りのせいにしていました。
環境だったり勉強法だったり・・・。
違います。
受験に失敗した原因は誘惑に負けた自分自身の弱さが原因です。
『失敗したのは誘惑に負けた自分の弱さが原因』
この言葉を聞いてから情緒不安定はなくなって前向きな気持ちになったのを覚えています。
あとこんなこともありました。
1月2月にもなるともう少しで受験本番です。
合格するかどうかは置いておいて、学力的には4月の頃とは比較にならないほど成長したわけです。
人間というのは学んで成長している実感があると嬉しいものです。
本来であれば大学に合格することが目標達成になるのですが、
予備校で学んで知識を習得することも楽しいから、『もう一浪してもいいかな』と良からぬ感情も出てきたりします。
お世話になった講師に恩返しをしたいのであれば、
もう一年浪人することではなくて、志望した大学に合格することが一番の恩返しになります。
予備校にも卒業式?みたいなのがあって修了式?出陣式?っていうのかな?
ちょっと記憶が定かではありませんが、そういう感じのセレモニーがありました。
講師陣が一人ずつ激励のスピーチをしてくれるのですが、
こういうことを言われました。
『重要なのは、19歳とか20歳の時に思い描いている10年後20年後の自分に、
将来のなりたい自分にどれだけ肉迫できるか?
近付けるように日々過ごしていくのがこれからの君たちにとって一番重要なこと。』
予備校の講師は生徒を大学合格までサポートするのが一番の仕事ですが、
大学に入学した後に目標を失わないように上記の言葉を餞として送って頂きました。
コーチング(導くこと)とティーチング(教えること)の両方をかなり高い次元で実現しているのが予備校なんですよね。
教わったことをトレーナー業へ昇華させたい
受験勉強とカラダ作り。
受験生が陥りやすい心理とダイエットや体型改善をしたい人の心理。
受験の落とし穴とダイエットの落とし穴。
教える範囲や方法論などある程度確立されていますから、予備校の講師とパーソナルトレーナーは共通している点が多々あります。
あの時にお世話になった予備校が僕の理想です。
当店は開業から10年経っています。
僕がパーソナルトレーナーとして活動するのを含めると15年間になります。
現時点でどのぐらい近付けたのかは分かりませんけど、僕が活動している限りは少しでも近付けるようにしたい。