【閲覧注意】上腕二頭筋腱を断裂
かなりレアケースの怪我をしました
書こうかどうするかで考えましたが、かなりレアケースの怪我をしましたので、この記事がどなたかの参考になるかもしれないと思ったので記録としてなるべく詳細に記していこうかなと思います。
2022年9月14日のセッション中に上腕二頭筋の遠位部(肘側)の腱を断裂してしまいました。
完全断裂と言うやつです。
状況としてはスクワットの指導中だったのですが・・・。
お客様がバーベルをラックに戻す際にラックに完全に戻せていなかったため、バーベルの落下が予測できました。
左側のラックの縁にバーベルが掛かっているだけの状態。
右側は完全にラックの上に保持されている。
ようは左側がいつ落下してもおかしくないヤバい状態です。
ちなみに、スクワットの指導ではラックに戻す際にラックの奥面に【当てて】からラック底面に戻すようにと指導しています。
今回のセットでは戻すルーティンが完全には出来ていなかったことで起きたことです。
という状況ではあります・・・が、セッション中に起こる全てのことはトレーナーである僕の責任です。
僕はお客様が怪我をするような指導をするトレーナーはトレーナー失格だと思っています。
トレーナーとして一番やってはいけないことです。
常にそういう気持ちで指導をしてきました。
お客様に対してはそういう気持ちというか覚悟でセッションを行ってきましたけど、トレーナーである自分が・・自分がですよ【セッション中に怪我をしてしまう】ということをまったくと言っていいほど頭の片隅にもなかったことが、今回の怪我をしてしまった原因の一つなのかなとも思っています。
よく言う心の死角というやつですよ。
で、話を戻すと、怪我をする時は一瞬ですね。
『危ない!』と思った瞬間、バーベル(左側のみ)が落下、両手を出してバーベルを持つ。
左側は落下したので左肘を【曲げて】バーベルを保持。
右側はラックに残っていましたので右肘を【伸ばしたまま】バーベルを保持する格好になりました。
バリバリバリっと乾いた音が右の肘付近から感じ、これはマズいかもと嫌な予感が・・・。
バーベルをラックに戻してから鏡で右腕を見ると、上腕二頭筋が・・・【無い】
腱が切れたので上腕二頭筋が肩の方へ引っ張られたため本来あるべき所よりも上方へ移動しちゃったんですね。
ちなみに、肘が伸びた状態で上腕二頭筋に瞬間的に力が入るとすぐに切れるようです。
痛みはそれほどでもない感じでした。
近い痛みだと筋肉が【攣った】ぐらい。
痛みはさほどでもなかったですが恐らく【けん断裂】か【筋断裂】か【肉離れ】か【攣った】の内のどれかかと思いました。
攣っただけで済むなら良いんだけどなぁという淡い希望はありましたけど、翌日の朝に病院で診察してもらった際にあっさりと『切れてるね』と言われ厳しい現実を知りました。
治療法としてはそのまま保存していく方法が一つ、もう一つが手術をおこなって切れた腱の縫合をする方法。
どちらを選ぶかは患者である自分次第。
それぞれにメリットとデメリットがありますから自分のライフワークに照らし合わせて決めることになります。
ちなみに、最初に診察してもらった病院では上腕二頭筋腱の遠位部(肘付近)の縫合手術が専門外になるので、別の病院を紹介してもらうことになりました。
紹介先の先生とのスケジュールがなかなか合わず約2週間後の9月30日に診察予約となりました。
保存で治していくか?手術をするか?
ネットやYouTubeで『上腕二頭筋腱 断裂』で検索しても出てくるのは上腕二頭筋の近位部(肩)の症例ばかり。
上腕二頭筋の遠位部(肘)の断裂はYouTubeで1件だけ見つかるという感じでかなりレアケースの症例みたいです。
知らない人のために簡単に説明しますと上腕二頭筋は肩関節と肘関節という二つの関節をまたいでいる二関節筋となります。

腱とは筋肉と骨を繋ぐ部分になります。
硬くて筋張った部分です。
有名なのはふくらはぎの筋肉と踵の骨をつなぐ【アキレス腱】がありますよね。
それで、上腕二頭筋の腱断裂は圧倒的に肩側の症例が多数派。
肘側の断裂はレアケースみたいですね。
言い方は変かもしれませんが折角レアケースのケガをしたことだし、僕のように治療法をどうしようかで悩む人もいるでしょうから時系列に沿ってなるべく細かく記載していきます。
9月30日に紹介された病院で診てもらいました。
ここでいきなり問題発生。
紹介された先生は肩の専門家。
肘の方は専門外みたいです。
今の時代、検索すれば大抵のものは分かりますから、ここに来る前に先生の名前を検索したら【専門分野:肩】の記述があったので『大丈夫なのかな?』と思っていましたので、やっぱりネ、とさほど驚くこともなく(笑)
この後、担当の先生は別の先生に変わります。
とりあえずMRIを撮ることになりました。
MRIを撮り終わって診察室に戻ったところ先生や別の先生(これから担当してもらう先生になります)、看護師、スタッフなど5~6名が待機してました。
おそらくレアケースの症例の患者だったので珍しさで見に来たのでは?と思います。
知らんけど。
MRIの映像では断裂部がよく分からず。
で、エコーで患部側と健常側の腕をそれぞれ確認。
『ここが切れた所』などと説明を受けましたが、正直同じ様に見えるし、僕には違いが全く分かりませんでした。
手術を受けて切れた腱の縫合をするか、それとも手術はせず保存して治していくか、納得のいくまで説明していただきました。
基本的に最終決断をするのは自分になります。
手術をするにしろしないにしろメリットとデメリットがありますから、自分のライフスタイルに沿ったベストな選択をするのが後悔のない選択になるのではないかと思います。
僕のことで言えば、
上腕二頭筋腱の完全断裂ですが日常生活レベルだと全く問題なく生活できました。
2リットルのペットボトル6本が入った段ボール(計12キロ)でしたら両手を使って問題なく持てましたし基本的には痛みもなし、普通に過ごしてましたからこの期間中に僕が怪我をしていると気付いた人は0人。
受傷して数週間なのでふとした動きで疼痛が発生することもありますが基本的には痛みはないし、力こぶの辺りに違和感があるだけ。
僕的にはこの違和感がイヤでしたけど。
先ほどペットボトル入りの段ボールを問題なく持てたと書きましたが、詳しく言うと【上腕二頭筋】は使っていません。
肘を回内(手のひらが内側を向く)すると前腕の筋肉が使われるので問題なく持てたんです。
肘を回外(手のひらを上に向けた)状態だと2キロのペットボトルでもムリだったかもしれません。
僕は怖くて試しませんでしたけど。
先生の説明では手術をせずにそのまま治す方法だと元の40~50%の筋力になると言われました。
日常生活では問題なくてもトレーニングやスポーツ動作で影響を受けるのがデメリットの一つ。
他には腱が切れたことで上腕二頭筋が肩側の方に引き込まれているので、力こぶが短くなっています。
ようは見た目ですよね。

画像は9月18日に撮ったものです。
肘側の腱が断裂していますので力こぶが上方に移動したように見えます。
比較画像として怪我をする前の画像(2022年7月11日)を見てみますと・・・

上腕二頭筋の下端が肘関節に近い所まであるのが分かるかと思います。
結構見た目での変化が大きいかなと感じてました。
ちなみに、断裂してても上腕二頭筋の筋自体は力を入れれば収縮するから力こぶの大きさはそんなに変わらないそうです。
委縮してかなり小さくなっていくのかと思いましたがそんなこともないようです。
ひと通りの説明を受けて手術をするか手術をしないか、この日に結論を出すことは出来ませんでした。
で、腱断裂の場合、受傷後1ヶ月が縫合手術が可能なリミットになるようで、この時点(9月30日)で16日経っています。
残された時間もあまりない。
次回の10月3日の診察でどうするかの結論を出すことになりました。
あと3日で決めなくてはなりません。
手術を受けるか手術を受けないで治していくか、メリットとデメリットをまとめてみると
メリット | デメリット | |
手術する | 筋力90%まで回復 筋肉の見た目が良くなる | シビレが残る可能性あり 感染症のリスクあり 傷跡(手術痕)が残る |
手術しない | 日常生活レベルでは困らない シビレや感染症のリスクが無い 上腕二頭筋が切れる心配がない | 筋肉の見た目の左右差が残る 筋力が40~50%に低下 |
手術を受けるか手術を受けないか、いまのところ5:5です。
本当に半々ぐらい、どっちにしろメリットとデメリットがありますから、自分の今後を見据えて選択しないといけないなぁと。
10月3日の診察で・・・決めました
3日間、手術を受けるかそれともこのまま保存して上腕二頭筋いがいの筋肉を鍛えて補っていくか、かなり悩みました。
正直、手術とか怖いし。
この3日間で気持ちは7:3ぐらいで手術を受ける方に傾いていましたけど結局、診察日までに決断を下すことは出来ませんでした。
手術を受ける方に少し気持ちが傾いたのは、自分の大切な人、例えば自分の子供のことだったらどうする?
と考えた時に『手術を受けるように説得する』と思ったんです。
決断が出来ないのはまだ手術に対しての不安があるから。
不安なのは手術に対しての漠然とした不安があるからなんですけどね。
その不安がなくなれば手術を受ける決断が出来ると。
その時に感じてた不安をリストアップすると、
- 執刀医の先生が信頼できる人なのか?経験値とかの心配。
- 後遺症(しびれが残る)などのリスクは?
- 手術自体の難易度は?
- 手術が上手くいった時に元の状態と比べてどの程度まで回復するのか?
ざっくり書き出すとこんな感じの不安があったので質問したんです。
担当医の先生は結構長い時間を割いて説明してくれたんですよね。
詳しい時間は確認しなかったですけど30分以上は時間をかけて説明してくれました。
手術の難易度はさほど難しいものではないようです。
執刀医の先生は過去に同じような手術をしたことが1回ある程度とのこと。
レアケースゆえになるほどねと思ったのと正直に答えてくれたことで僕は『この人は信用できる』と感じました。
決め手になったのは『今日、決めることが出来なければまた次回の時まで考えてくれてもいいですよ』と急かさなかったことですかね。
受傷後1ヶ月が縫合手術のリミットなので、この日(10月3日)で19日経っています。
手術の日程を決めるのに時間がないのは素人の僕でも分かります。
が、一切急かすこともなく納得できるまで待ってくれるという発言で、『手術をお願いします。』と決めました。
手術日は10月7日に決定。
2泊3日の入院。(10月6日~10月8日)
入院前にPCR検査を受ける。(陽性の場合は延期)
全身麻酔か伝達麻酔(部分麻酔)を選択。
手術前の検査
全身麻酔の方が寝て起きたら手術が終わってるからいいかなと思っていたのですが、
全身麻酔の場合は麻酔科医との連携もあり手術日の日程を調整するのが大変そうだったのと手術前の検査が増える、
手術後はその日の飲食ができない、
手術中に人工呼吸器を付けるので1日ぐらい喉の奥に違和感が残るなど、
楽かと思っていたらそうでもないと感じて伝達麻酔(部分麻酔)で手術をすることに決めました。
伝達麻酔(部分麻酔)の唯一のデメリットは意識があるので手術中の色々な音が聞こえてくることですかね。
メンタル的にきついなぁと。
ただ、実際に手術を受けた感想としては、手術中は腕の感覚はほぼ無いし、仕切りがあって見えないし、意外と大丈夫だったりします。
で、手術前の検査では、
- レントゲン撮影
- 採血
- 身長・体重の測定
- 筋肉量などの測定
- 握力測定
- 入院案内とカウンセリング
これらの検査をおこないました。
握力測定は15年ぶりぐらい。
僕は右利きですから常に右の方が左よりも強く15年前は右68左60ぐらいだったと記憶しています。
今回は右54左57でした。
急に渡されてやりましたから心の準備も出来てなかったため60キロ出なかったショックも多少あったりして(笑)『こんなもんか』と思いました。
握力測定は上腕二頭筋とは無関係な筋肉を使いますけど、右が左よりも低かったのを見て末端部の握力にも影響していて『体は連動しているんだ』というのを痛感しました。
長い1日でした。
5時間半かかりました。
ここまでのことを時系列で記すと下記の通り。
9月14日 | 受傷(上腕二頭筋の腱断裂) |
9月15日 | 診察で完全に断裂しているとの診断。 |
9月30日 | 紹介された病院での診察と手術等の説明。 MRI、エコー撮影。 10月3日の診察までに手術を受けるか受けずに治していくかの判断をする。 |
10月3日 | 手術を受ける決断をする。 手術前の検査。 入院の説明、カウンセリング。 |
10月5日 | CPR検査。 |
10月6日 | 入院初日。 |
10月7日 | 入院2日目。 手術日。 |
10月8日 | 午前中に退院予定。 |
記事が長くなってきたので一旦締めます。
続きはまた後ほど↓↓↓↓